今回は「パワフルなWiFi」なんて売り文句を掲げながら回線品質がゴミ少々残念なことで有名なSoftBank Air(以下SBAir)を実際に使ってみて、実際の使用感や速度をレポートしていきたいと思う。
今回は中の人がSoftBank光を契約し、その開通工事までのつなぎとして無料レンタルでSBAirを利用することになった。無料で貸し出してもらえるのはありがたいことだが、果たしてSBAirは使い物になるのか。結論から言うと噂に違わぬ悲惨な回線品質だった。記事の後半では各時間帯の仔細な速度測定も行うので、ぜひ最後までお読みいただきたい。
- 実際にどんな弊害が出たか
- SBAirの速度の実測値 - fast.com編
- SBAirの速度の実測値 - Cloudflare編
- 楽天モバイルでテザリングした方がマシ説
- そしてやっぱりつよつよ光回線
- まとめ:これはひどい
実際にどんな弊害が出たか
そうは言っても、SBAirは仮にも月5,368円も取っているサービスだ。まあ速くはないにしてもなんとか使えるレベルの速度は出るんでしょ?と普通は思うだろう。だがそれは甘い。甘すぎる。以下実際にSBAirを使ってみて出た弊害を列挙してみる。
- ネットサーフィンですら頻繁に止まる。とくにYouTubeなど動画は鬼門
- その延長でオンライン授業もまともに受けられない。Microsoft Streamで配信される授業の動画ファイルの読み込みですらすぐ止まる
- 写真のバックアップをアップロードしていると、回線が圧迫されてPCからでもネットがまともに使えなくなる
- ゲームなんてまともにできるはずもなく、PC版「Apex Legends」をプレイしていてもラグや遅延のオンパレード。敵が目の前でいきなり消えたりしたこともあった(デコイじゃないです)
……と。ここまでの内容でも十分SBAirの「地雷さ」は伝わったと思うが、24時間常にこういう状態かというとそうでもない。実は回線が空いている時間帯・瞬間ならば、速いとまでは言えないまでも必要十分な速度(下り100Mbpsくらい)が出ることもあるのだ。そう、SBAirの問題の本質は「回線が遅い」ことだけではない。「回線速度が安定しない」ということも、もう一つの大きな問題なのだ。
SBAirの速度の実測値 - fast.com編
それでは実際の回線速度はどのようなものなのか。まずは定番の速度測定サイト「fast.com」で測定したデータをご覧いただこう。なお以下のデータは全て2021年4月13日に測定したものであり、PCと「SoftBank Air ターミナル」との接続はWiFiではなく有線で行っている。
どうだろうか。「上りが常に遅い」「夜は速度が落ちている」「タイミングによってはレイテンシがひどい」など色々と思うところはあれど、個人的には意外と速度出ているな、というのが正直な感想だ。ゲームに使うには心許ないが、ネットサーフィンくらいならこの速度が常に出ていればそんなに困ることはない。……そう、常に出ていれば。
fast.comで測定できる速度はいわば瞬間風速のようなもので、これだと「一瞬だけ速度が急降下してすぐ元に戻った」というような現象を捉えることはできない。そこで今度は別のサイト「speed.cloudflare.com」を使い、より詳細にデータを測定してみることにした。
SBAirの速度の実測値 - Cloudflare編
以下は先ほどと同じように2021年4月13日の朝・昼・夕方・夜に測定したデータである。
これは午前9時のデータだが、見てほしいのはピンクの枠内。オレンジと紫の折れ線グラフはそれぞれ下り・上りの速度の推移を表しているのだが、ピンクで囲った部分で「速度低下」と「速度の不安定」が同時に起こっていることが見て取れる。これだけ急激に速度が上がったり下がったりすると明らかに体感できるレベルで遅延が起こる。YouTubeが見られないのもオンライン授業が止まるのもこういうタイミングだ。なお水色の枠で囲った箱ひげ図を見ると、下りの最低速度は1Mbpsを余裕で下回っている。さらに紫の枠の部分を見るとレイテンシは驚異の最大3500ms超え。さすがにひどい、ひどすぎる。
午後0時・午後6時の結果を見ても、やはりピンク枠の部分で速度の乱高下が起こっている。朝の結果に比べればまあだいぶマシではあるが、この程度でもそれなりにストレスは感じる。レイテンシはさすがに改善しているようだ。
今回の測定で唯一「まとも」な結果が出た午後11時。速度のアップダウンもそれほど激しいものではないし、レイテンシもまあ常識の範囲内だ。ただこれはここまでの結果が酷すぎたから「まとも」に見えるだけであって、ネット回線としては普通にポンコツであることを忘れてはならない。また単純に回線が混み合う時間帯なこともあって速度は下りも上りも最低レベルだ。
楽天モバイルでテザリングした方がマシ説
SBAirは、「おうちのWiFi」という文句で売っているように、モバイル向けではなく固定回線向けのサービスとして提供されている。だが、このレベルで速度の低下・乱高下が起こるなら、もしかしてスマホ回線のテザリングの方がマシなのでは…?という疑惑が生じてくる。そこで次は楽天モバイル回線のテザリングでインターネット接続してみた。その結果、案の定速度は総じて楽天モバイルのほうが速く、かつ速度のアップダウンもSBAirよりは少なく、体感的にはこちらのほうがだいぶ快適だった。
ちなみに、方法としては写真のように、USBのA-to-Cケーブルで楽天モバイルSIMのスマホとPCを接続、USBテザリングでネットに接続する。一般論としてUSBテザリングは速度が落ちやすい傾向にあるが、それでもSBAirと戦えるレベルなのだ。こうなるとSBAirの存在意義とは…と言ったらさすがに言い過ぎだろうか。
いちおう各時間帯の速度測定結果も載せておく。モバイル回線ということでやはり速度の上下は見られるのは仕方ないだろう。それでもSBAirほど派手に乱高下する場面は少なく、この差は思っていた以上に使用感に影響していた。
楽天モバイルはデータ使い放題で月2,980円(さらに今なら3か月無料)とSBAirより大幅に安い。もし同じくらい使えるなら、選択肢の一つとしてアリではないだろうか。
そしてやっぱりつよつよ光回線
後日光回線(SB光)が開通したので速度を測定してみたら、まあやはりというか何というか、当然の結果として圧倒的に強かった。下り750Mbps、上り578MbpsということはSBAirの100倍くらい出ていることになる。差がエグすぎる…。
まとめ:これはひどい
最初に述べたように、今回僕はSBAirを無料で貸し出してもらった身だ。そのくせこんなに文句ばかり言っていいのかという気はしないでもないが、それを差し引いても、これが本来なら月5000円超えのサービスであるということについてはさすがに批判していいだろう。とてもじゃないが、サービスの品質が価格に見合っているとは言えない。光回線のほうが圧倒的にいいのは言うまでもないが、もしそれが無理でもテザリングで済ませるとかした方がコスパとしてはだいぶマシなのだ。もしSBAirの契約を検討している方がいたら、そうした代替案もよーーーく吟味したうえでにしてほしいものだなと切に願っている。
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