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【闇】「SoftBank Airターミナル」の中古品がたった「1000円以下」で買える理由を解説

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前回はSoftBank Airを使っていた時の実際の速度について記事を書いたが、今回はそれとは違う切り口で、SBAirの「もうひとつの闇」について解説していきたい。

前回の記事はこちら↓

39anartwork.hatenablog.com

はじめに

あなたはSoftBank Airというネット通信サービスを聞いたことがあるだろうか。……なんて大げさな書き出しをするまでもなく、ほとんどの人は名前くらい聞いたことがあるであろう、SoftBank Air。その名のとおりSoftBankが展開する、自宅に工事不要で固定回線を通すサービスだ。

そのSoftBank Air(長いので以下「SBAir」)において、ルーター・アクセスポイントとして使われるのがSoftBank Airターミナル(長いので以下「Airターミナル」)。SBAirを契約している人にはなじみ深いであろう、あの白くて縦長な箱だ。

(写真)

実は先日、そのAirターミナルの中古品がたった1000円以下で入手できてしまったのだ。もちろん元々はもっと遥かに高額な端末なのだが、なぜか中古市場ではそんな捨て値で、しかも大量に投げ売られているのである。今回はその理由を解説しながら、垣間見えるSoftBank Airの闇についてもちらっと触れていきたい。

 

そもそもSoftBank Airとは

上述のとおりSBAirは、光回線のような工事をしなくても家にネット回線を引けるというサービスだ。しかし一体、どういう仕組みでそんなことを実現しているのか。

SBAirの仕組みは、一言で言えばスマホテザリングと同じものだ。AirターミナルはSoftBank基地局から発せられる4Gの電波を(普通のスマホと同じように)掴み、同時にWiFiの電波を発し親機として機能する。ただAirターミナルに内蔵されているアンテナはスマホのそれよりずいぶん大きいので、そのぶん安定して電波を掴める。固定回線の代わりとして使えるわけだ…理論上は

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SBAirの通信速度。2021年4月2日金曜日・夜11時台に測定。

これ↑を見てほしい。実は僕自身も、最近引っ越してきた新居に光回線が開通するまでの間、暫定的にSBAirを借りて利用していた。詳しい速度測定結果は上述の前記事に載せているのでそちらもぜひお読みいただきたいのだが……どうだろうか。工事不要で固定回線!なんて銘打って販売しているサービスなのに、速度は光回線の足元にも及んでいない。なにせ光回線なら、同じ時間帯でもこんなに速度が出るのだ。

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SB光の通信速度。2021年5月8日土曜日・深夜1時台に測定。

どうだろう、この差は。上りも下りも100倍以上もの差があるのだ。悲しくなってくる。別に僕はSBAirを自費で契約したわけではない(SB光が無料で貸してくれていた)が、それにしたって悲惨な速度だ。この速度だとネットサーフィンですらモッサリ、Apexなんてやろうものならラグだらけでぶん投げたくなるほどだった。

 

実はハイスペックなAirターミナル

とはいえ、SBAirの速度が遅いのは別にAirターミナルの性能が低いからではない。SBAirの遅さの原因は使っている電波の帯域の少なさや回線の弱さ(大勢のユーザーが同時に通信するとすぐ混み合う)であって、Airターミナルという端末自体はむしろかなり高性能な部類だ。さらに言えば、Airターミナルの売価は6万円もする。いくらSBAirが遅いといえども、使っている機械自体は相当いいものだということがわかるだろう。

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Amazonより引用

www.amazon.com

上の画像はAirターミナルのベースになっている(と考えられている)Huaweiモバイルルーター「B618」だが、これはHuaweiモバイルルーターのフラッグシップだ。定価も日本円にして5万円程度。文句なしの高級機である。

 

Airターミナルの中古が投げ売りされる理由

しかし、そんなハイスペックなはずのAirターミナルは、最初に述べたように中古価格1000円前後で投げ売られている。新品6万円なのに、中古になると価値が50分の1以下にまで落ちてしまうのだ。一体なぜそんなことになっているのか。

単刀直入に言うと、それはAirターミナルがリユース不可だからだ。中古のAirターミナルにSBAirのSIMを挿しても通信できないし、Wimaxなど他社SIMでも同様。「契約時に買った新品のAirターミナルじゃないとAirターミナルとして使えない」、SBAirはそんなクソシステムになっているのだ。中古になると利用価値がほぼ皆無になるからこそ、市場価格もここまでの暴落を見せているというわけだ。

 

ちなみに、じゃあ僕はなぜそんなAirターミナルを中古で買ったかというと、実はこのAirターミナル、少し設定をいじって光回線ルーターにつなぐと高速WiFiアクセスポイントとして使えるという裏技があるのだ。ちょっとしたDIY気分だ。その様子もそのうちに記事にする予定なのでそちらもお読みいただけたらとても嬉しい。

 

Airターミナル、購入かレンタルか

話をSBAirに戻そう。6万もするくせにリユースもできないAirターミナル、だがそれを買わないとSBAirは利用できない……かと思いきやさすがにそんなことはなく、一応救済策も用意されている。Airターミナルはレンタルで利用することもできるのだ。

……だが、その救済策には問題がある。レンタルは優遇されないのだ。以下はSBAirでAirターミナルを「レンタルした場合」「購入した場合」それぞれの月額料金である。

  • レンタルした場合:5,907円(基本料金5,368円+Airターミナルレンタル料539円)
  • 購入した場合:4,180円(基本料金5,368円-SBAirスタート割(12か月)1,188円Airターミナル端末代[36回払い]1,650円-端末代実質無料1,650円)

いかがだろうか。Airターミナルを購入すれば最初の1年は1,188円/月の割引が受けられるし、36回分割で購入すればさらにAirターミナルの代金は実質無料になってしまうのだ。レンタルした場合に比べ月1,727円も安くなることになる。この条件で一体誰がレンタルを選ぶだろうか?

 

 

先ほども書いたように、Airターミナルのリセールバリューはびっくりするほど低い。終わってる、と言ってもいいだろう。だが今しがた見てきたように、36回払いで購入してしまえばAirターミナルの端末代は実質無料になるのだから、いくらリセールが低くても問題にはならないのではないか…?という気もする。しかし、これが実は全然そんなことないのだ。

 

SBAir情弱ビジネス説

Google検索に「SoftBank Air」と入力すると、次のようなサジェストが出てくる。

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2021年4月5日時点の検索結果です

一番上に「解約」「エリア」や「料金」「住所変更」を差し置いて堂々のトップが「解約」。 SBAirを解約したがっている人が世の中にごまんといることが、サジェストの順番から露呈してしまっているようだ。

この記事の冒頭でも触れたが、SBAirは速度が非常に遅い。サジェストでも「解約」の下に「遅い」「速度」などといったワードが並んでいるが、SBAirを解約したくなる一番の原因は、他でもない、速度の遅さなのだ。

しかしそんなSBAirを、運営では次のように売り込んでいる。

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SBAir公式ページより引用

www.softbank.jp

「シンプルなWiFi」「毎月おトクなWiFi」は、まあどちらも事実だろう。だが「パワフルなWiFi」はどうだろうか。この記事の冒頭でスクショを貼った実測値「下り4.1Mbps上り2.5Mbps」をもってしてもなおこれを「パワフルなWiFi」と言い張れるのか。もちろんオレンジの文字で「下り最大962Mbps」と書いてあるように、最大速度(理論値)はパワフルだ。だが実際には速い時でも数十Mbps、遅い時だと1Mbpsすら割り込むほどだ。これを「パワフルなWiFi」と言い張るのは果たして正しいのか。

そうは言っても、何も調べずにこの売り文句をうのみにして、速くて快適な回線を求めて契約してしまう人というのも一定数以上いる。そういう人たちがいざSBAirを使い始め、あまりにも遅い実際の速度にショックを受け、他社への乗り換えを検討し始める。サジェストの一番上に「解約」なんて単語が出てきてしまうのは、そうした状況の現れだと解釈してまず間違いないだろう。

 

Airターミナルの「残債」という大問題

さて、ここで思い出してほしいのが、SBAirはAirターミナルを「36回払いで」「購入」するとAirターミナル代が「毎月割り引かれ」、実質無料になるということだ。

そう。つまり速度の遅さに耐えかねてSBAirを36か月以内に解約してしまうと、残ったAirターミナル代の支払いを全部請求されることになるのだ。元が6万円なので、仮に1年や2年で解約してしまったらその時点でまだけっこうな額の支払いが残っていることになる。Airターミナルは解約後に何かに転用したりできないし、中古で売っても1000円ぽっち。自業自得と言ってしまえばそれまでだが、まあ控えめに言っても気の毒すぎる。

 

速度の遅さに苦しんで、36か月より早い段階で解約することになるかもしれない。そんなふうに先を読んで契約できていれば、おそらくAirターミナルを「購入」したりはしないだろう。「レンタル」一択だ。だがそれだけの先見の明がなかったら?Airターミナルを購入すれば割引が効いて端末代も実質無料。それは「購入」一択になるだろう。かくして大量のAirターミナルが「購入」され、SBAir解約とともに二束三文で市場に放出される。これこそが中古のAirターミナルが、わずか1000円で買えてしまう理由の全容だ。

 

まとめ:1000円Airターミナルは情弱ビジネスの副産物

ここまでの内容からも明らかだと思うが、SBAirというサービスは「リテラシーの低い層をカモにして騙すように売りつける」という一面を確実に持っている。このサービスを必要とし、納得して使っているユーザー(例えば光回線をどうしても引けない事情があるなど)も当然たくさんいるのだろうが、実測値と乖離した最大速度の猛アピールや「Airターミナルの再使用不可」「Airターミナルは『購入』優遇」などの仕様を見てしまうと、やはり売り方の汚さは感じざるをえないというのが正直なところだ。

 

そして、今僕の手元にある1000円以下のAirターミナルも、前の持ち主さんとSBAirとの間にそうやって紆余曲折があった末に生まれた副産物なのかもしれない。そう考えるとなんだか切ない気持ちになるが、オタク的には「ハイエンドのアクセスポイントが1000円で買える」というのはとっても面白い状況だ。せっかくなので、せめて楽しく遊んであげたいものだなと思う。

 

SBAirの闇を「速度」の面から暴く記事はコチラ↓

(あとでリンク貼ります)

 

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