今回は、先日auから発売された新型スマホ「Redmi Note 10 JE」をレビューする。2万円台、各種割引を使えばもっと安く買えてしまうスマホながら5G対応、そしておサイフケータイ搭載と非常に注目度の高いスマホだが、実際の使用感はどのようなものだろうか。早速見ていこう。
安いのに上質な見た目
まずは開封の儀。キャリアモデルということもあって充電器などは同梱されておらず、そのぶん薄い箱に入っている。
箱から本体を取り出してみて、正直とても驚いた。質感がかなり高い。2万円台のミドルレンジスマホとしては頭一つ抜けているというか、正直4~5万円くらいのスマホだと言っても通用しそうなボディの上質感である。ただしディスプレイの発色については、ちょっと暗いかなぁといった印象も受ける。
付属品はクリアケース、冊子類、SIMピンのみで、Xiaomiスマホとしてはかなり少ない部類だ。上述の通り、充電器などは付属していないので別途用意する必要がある。
ちなみに、Redmi Note 10 JEを急速充電器に繋ぐと9V2Aで充電された。USB-PDなどの超高速な規格には対応していないようなので、この機種のために充電器を買うならそんなに高いものを買う必要はないだろう。
気になる性能は?
安いスマホとなると、気になるのはやはり処理能力の部分。Redmi Note 10 JEのスペックは次のようなものである。
- SoC(スマホの脳みそ):ミドルレンジの「Snapdragon 480」
- メモリ:4GB
- ストレージ:64GB、UFS2.2
- バッテリー:4,800mAh
- 5G対応、Wi-FIは11ac(Wi-Fi5)までの対応
- おサイフケータイ搭載
基本的には「2021年のミドルレンジスマホ」として標準的なスペックをしているが、ストレージが高速なUFS2.2だったりおサイフケータイを搭載している点はなかなかにコスパが高い。このスペックで普段使いやネットサーフィン、SNS、そしてゲームにはどこまで使えるのか。さっそく検証してみた。
まずはホーム画面、設定画面などの基本操作だが、こちらはわずかな引っ掛かりは感じるものの概ねサクサク動いている。必要十分といった感じだ。このRedmi Note 10 JEをはじめ、Xiaomiスマホに搭載されているMIUI(Androidに被せられたスキンのようなもの)は比較的重い部類なのだが、SD480+メモリ4GBという構成でも普通にサクサクである。
リフレッシュレート(1秒間に画面が何コマ描き変わるか)は最初は一般的な60Hzに設定されているが、設定から90Hzに上げることもできる。これを設定すると明らかに使用感が快適になるので、特に理由がなければ90Hzにしておくことをおすすめする。
ChromeでのネットサーフィンやYouTubeでの動画視聴も、特に問題なくこなしている。このようにマルチタスクで同時に動かしても特段モッサリするようなことはなかった。ただChromeに関しては、画像が多いサイトなどを閲覧しているとやや読み込みが遅れる感触もあった。このあたりは性能相応、値段相応に割り切りが必要だろう。
地味に重いアプリであるTwitterも、特に問題ない程度のサクサク感で動作している。ただ、こちらもChromeと同様、一気にスクロールしたりするとちょっと読み込みが遅れるような感触はある。
ゲームの性能も試してみようということで、とりあえずいつも遊んでいるプロセカを入れてみた……が、これはダメだった。思った以上にボロボロだった。
リズムゲームをプレイしていると、このような長押しのノーツであからさまなノイズ、タッチ切れ、そして遅延が発生する。しかもそのたびにコンボも途切れてしまうので、正直これではプレイできたものではない。楽曲を変えたり設定を下げたり、キャッシュ消去や本体の再起動まで試したが全く改善しなかった。
挙動から考えるに、どうやら長押しノーツの連続に対して処理が追い付いていないようだ。その証拠に、ノーツの数が少ない難易度NORMALでは上述の症状は明らかにマシになり、最後まで完走することができた。
Androidの音ゲーには相性問題がつきものであり、今回の症状も原因はよくわからない。SD480よりわずかに性能が低いSD835搭載スマホ(HTC U11)では普通にプレイできていたことから、おそらく「単純な性能不足」というよりはアプリやOSの最適化の問題の可能性が高いとは思う。ただ真実は闇の中だ。今後のアップデートで改善されるかどうかは正直なんとも言えない。とりあえず、少なくとも僕は、このスマホでプロセカはやりたくないなと思った。今後また別のゲームも試してみたら追記する。
カメラ性能は「そこそこ」程度
スマホを買うなら、やはりカメラ性能は気になるところ。2万円台の安いスマホとはいえ写真はキレイに越したことないわけだが、Redmi Note 10 JEのカメラは果たしてどこまで戦えるのか?
日中の明るいところでの撮影では、このようになんの問題もなくきれいな写真が撮れる。「ガスト」や「星野珈琲店」といった遠くの小さな看板も正確にディティールが取れているようだ。色彩も鮮やかで、一目見て「あ、きれい」と感じられる写真に仕上がっている。
ただし、ハイエンドに匹敵するようなクオリティのものが撮れるわけではない。今回の比較対象は型落ちのハイエンド機であるHuaweiのMate 20 Proだが、パッと見でもこちらのほうが「自然な色彩のまま明るく」仕上がっているのがわかると思う。Redmi Note 10 JEの写真は、鮮やかではあるがちょっと「盛りすぎ」な感じだ。また影の部分などを拡大してみるとノイズの量もけっこう差がある。Redmi Note 10 JEの写真はちょっとノイズ多めだ。もっとも、見比べなければ大して気にならないような気もするが。
料理の撮影に関しては、撮って出しながら非常に「映える」写真が撮れた。このままSNSにアップしても大丈夫な気がする(少なくともTwitterなら確実に許される、インスタは知らない)。ただ細かいところを見るとスープ皿の影のあたりがノイジーだったり、明るいところが白飛びしていたりする。「細かいこと気にしない人向け」といった感じの写真だ。
夜景モードはこんな感じ。安いモデルと考えれば案外健闘しているなという印象。ソフトウェア補正でのっぺりした仕上がりになってはいるが、暗い中撮ったにしては明るさ、ディティールともに意外といい線いっている。夜景モードをオフにすると正直目も当てられないような仕上がりになるため、夜間の撮影なら必ず夜景モードはオンにすることをおすすめする。
なお、ひとつ注意点としては、Redmi Note 10 JEは超広角カメラを搭載していない。超広角があると大きな建物なんかも撮りやすいので便利なのだが、ここは割り切りが必要なポイント。
4GとWi-Fiで通信速度を測定してみた
auのスマホをレビューしておいてなんだが、当ブログではauの回線を契約していない。そこでさしあたりワイモバイルのSIMを挿し、ワイモバイルの4G回線およびWI-Fiで通信速度を測定してみた。Redmi Note 10 JEは、SIMロックの解除さえしていればワイモバイル回線も利用することができる。
その測定結果がこちら。4Gでこの速度なら、十分良好に電波を掴んでいるといえるだろう。今回5Gエリアでの通信速度は試せていないが、また検証でき次第追記させていただく。
一方で、Wi-Fiについてはそれほど速くないようだ。この測定結果だけ見ると十分な速度ではあるのだが……
Mate 20 Proで続けざまに測定すると、Redmi Note 10 JEの2倍近い速度が出ていることがわかる。両機種ともにWi-Fi5(11ac)までの対応である点は同じなのだが、Redmi Note 10 JEのWi-Fiアンテナ周りはもしかすると若干弱いのかもしれない。
電池持ちについて
これは非常に良好。4,800mAhという大容量のバッテリーを搭載していることに加え、ミドルスペックなぶん消費電力の少ないSnapdragon 480を採用しているため電池が全く減らない。朝に残量100%で家を出て、夜帰ってきても80%以上残っていた。まあ、この日は外出中にあまりスマホを触らなかったというのもあるのだが、それでもこれだけ持つなら2日は充電なしで余裕で乗り切れそうだ。
その他気になった点など
指紋認証の精度
Redmi Note 10 JEは側面指紋センサーを搭載しており、認証速度はかなり速い。ただし認証されてからホーム画面が表示されるまでに一瞬タイムラグがあるので、体感的にはちょっとテンポ悪く感じてしまう。このあたりは指紋センサーの問題ではなく、あくまで処理能力の問題だろう。
デュアルアプリ機能がない?
Xiaomiスマホに搭載されているMIUIの便利機能のひとつに「デュアルアプリ」というのがある。これはアプリを複製して2つのアカウントで別々に運用できるというもので、たとえばスマホ1台で2アカウントのLINEを使い分けたりすることができる。
しかしRedmi Note 10 JEの設定画面を見てみたところ、本来あるべき場所に「デュアルアプリ」の設定項目が見当たらなかった。auからの発売にあたって塞がれてしまったという可能性が高そうだが、別の場所にあるよ!などもし何か追加情報をお持ちの方がいたらぜひコメントで教えてください。
プリインストールアプリについて
これはXiaomiスマホ全般に言えることなのだが、MIUIにデフォルトで入っているプリインストールアプリが多いのは気になるポイント。なぜかゲームに関しては初期状態で6個も入っている。意味が分からない。
一方で、au製のアプリに関してはこの1個しかない。これはとても好印象だ。ちょっと前までのauスマホはスマートパスやらau PAYやらau謹製のアプリがてんこ盛りだったわけだが、どうせ大部分は使われずストレージの肥やしになるだけだ。もともとストレージが64GBしかない(microSDカードは利用可能)端末なので、これはとても英断だと思う。ちなみにこの「取扱説明書」アプリも、開いてみるとWeb上の説明書へのショートカットにすぎない。
おサイフケータイの使い勝手について
Redmi Note 10 JEのウリのひとつであるおサイフケータイの使い勝手だが、こちらは特に問題なさそうだ。Felicaアンテナの位置が端末の上の方なので、端末の先端をサッとかざすだけで決済できてしまう。とりあえずToyota WalletでiD決済を試してみたがとくに問題はなさそうだった。
本体スピーカーの音質
これは期待しないほうがいい。そもそもモノラルスピーカーだし、音質もスカスカなよくある安いスピーカーという趣のものだ。これで音楽に聴き浸るのは流石に無理があるし、なんなら軽いMV鑑賞でもちょっと微妙だなと感じるくらいだ。
とはいえ、音楽を聴かない前提ならそう悪くもない。人の声が聞きやすいので、YouTubeの動画なんかを見るのには向いていると感じた。この機種にはハイレゾ対応のイヤホンジャックもついているので、音楽に浸りたいときはぜひともそこに高音質なイヤホンやヘッドホンを繋いで楽しむべきだ。
まとめ:ゲームしないなら全然アリ
結論として、良かった点と微妙な点は次のような感じだった。
良かった点
- 十分に高い本体の質感
- 比較的軽量なボディ
- おサイフケータイ搭載
- かなり良好な電池持ち
- ゲームしなければ十分なスペック
- それでいて安い(定価でも2.8万円、割引を駆使すればそれより大幅に安く買える)
微妙だった点
- プロセカは厳しい
- ディスプレイやスピーカーの品質はあまり良くはない
- カメラ性能はそこそこ
- メモリ4GB、ストレージ64GBは将来的には足りなくなるかも
総じて、ゲームしないなら全然アリなスマホだなと感じた。なにぶん質感が良くて基本的な性能もちゃんとあり、それでいて安い。スマホですることといったらSNSやメール、ネットサーフィン、写真撮影くらいというライトユーザーであれば十分におすすめできる。
メインにはハイエンドスマホを使うが、おサイフ用にサブ機がほしい……というような人にもおすすめだ。サブ機の充電というのは地味に面倒なので、電池持ちのよさがここで効いてくる。ちなみに僕自身もそういう使い方を想定してこの機種を購入した。全く電池が持たないRakuten miniの置き換え用である。
他にも「ゲームはiPadでするからスマホは安いのでいい」というようなユースケースも想定できる。実際、ゲームのために中途半端に性能の高いスマホを買うくらいなら、スマホをこれで済ませてゲームは無印iPad(3.8万円)に全部任せるというのもひとつの考え方だろう。
Redmi Note 10 JEは、派手さこそないが基本的なポテンシャルがしっかりしており、さまざまな人におすすめできる端末となっていた。今後も当ブログではさまざまな観点からレビュー記事を書いていこうと思うので、そちらもお読みいただけたら幸いだ。
(2021.09.08追記)
Redmi Note10 JEを楽天モバイルSIMで運用してみたレビュー記事を公開しました。白ロムとして楽天モバイルで利用検討中の方はこちらも参考にどうぞ↓
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