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【イラコン開催】スマホメーカーからタブレットメーカーに転生したいHuaweiの狙いと未来を考察【MatePad 11が当たる】

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先日、Huaweiがイラストコンテストの開催を告知した。

news.mynavi.jp

タブレット端末を使って「ちょっとした非日常」をテーマにしたイラスト作品を投稿すると、審査ののちHuaweiタブレット「MatePad 11」やAmazonギフト券がもらえるかも!というコンテストなのだが、注目すべきは今回の審査員。なんと……

イラストレーター兼YouTuberとして現在大活躍中のさいとうなおき先生が、このコンテストの審査を務めるというのだ。Huaweiのような一般企業が開催するイラコンというのは、通常このようなゲスト審査員は迎え入れられない場合が多い。本社などでスタッフがさくっと審査してしまうものが大半だ。そう考えると、今回のコンテストの力の入りようもお分かりいただけるだろう。

しかし、なぜHuaweiは今、そのような力の入ったイラコンを開催するのか?垣間見えるのはHuaweiの今後の市場戦略、つまり「スマホメーカーからタブレットメーカーに転身したい」という狙いである。今回はこれについて考察していきたい。

 

タブレットメーカーになりたいHuawei

まず前提として、2021年現在、Huaweiタブレットメーカーとしての道を確実に歩んでいる最中である。この夏にはハイエンドのSoCとHarmonyOS(Androidと互換性の高いHuawei独自のOS)を搭載したタブレット「MatePad 11」を発表しているし、それ以前にもミドルレンジの「MatePad T10/T10s」や「MatePad(2021)」など複数のタブレットを発表している。2020年からの1年半で日本市場に投入したタブレットはなんと6機種にものぼり、Huaweiタブレットへの力の入れようがわかるというものだ。

 

もっとも、Huaweiは2019年以前にも、MediaPadシリーズとしてAndroidタブレットを長年販売していた。しかしこの頃のHuaweiのラインナップはあくまで「スマホが主役」であり、タブレットはその次、といった印象も否めなかった。それがなぜ今のような状況になったかというと……勘のいい方ならもうお分かりだろう。そう、アメリカによる制裁の影響である。

 

「ふつうの」スマホが作れない

2019年5月、アメリカのトランプ政権(当時)はHuaweiに対し経済制裁を発動した。その内容は一言で言うと「Huaweiアメリカの技術を使えない」というものなのだが、Huaweiの主力商品であるスマホの開発には次のような影響がもたらされた。

  • Androidスマホの根幹をなす「Google製のアプリ」が使えない
  • Huawei系のメーカー(HiSilicon)が開発し、台湾TSMCに製造を委託していた独自SoC「Kirin」が調達できない
  • QualcommからのSoC調達は現在では認められているものの、5G対応のSoCについてはいまだに調達できない

さて、こうなるともうHuaweiは「ふつうの」Androidスマホを作ることができない。AndroidスマホにとってGoogle PlayストアやGoogleの開発者サービス(これがないと動かないAndroidアプリが少なくない)が必要不可欠だし、2021年の今となっては安価なスマホでも当たり前のように5Gに対応している。米制裁という大きな足かせにより、Huaweiがかつてのように「ふつうの」Androidスマホを作る道は事実上閉ざされてしまったわけだ。

 

そのような状況下でも、Huaweiはなんとか自社製のアプリマーケット「Huawei AppGallery」を開発し、Google製アプリの代替品を一通り用意した。そして2020年には日本でも「Mate 30 Pro」や「P40シリーズ」といった新型スマホを発売した。

しかし、これが大ヒットを飛ばすことはなかった。Googleアプリが使えないこれらの機種がSIMフリースマホの売り上げランキングに食い込むことはなく、OPPOやXiaomiといった競合に敗れて影が薄くなってしまった。とくにP40シリーズと同じ日に発表されたXiaomiの「Redmi Note 9S」はコスパにおいてP40シリーズを大きく上回り、しかもGoogleアプリも当然のように使えるという強敵だった。現在でもRedmi Note 9Sは新品・中古ともに流通量が多いが、P40シリーズはほぼ見かけなくなってしまった。そして、そんな状況を受けてか、P40シリーズ以降、Huaweiの新作スマホは日本には投入されなくなってしまったのだ。

 

スマホはダメでも、タブレットなら……?

そんなスマホとは対照的に、上述の通り、タブレットの新製品については2021年になっても引き続き投入されている。これはなぜかというと、タブレットでは上述のようなHuaweiの弱点が問題になりにくいからだ。

 

まずGoogleアプリが使えない点については、タブレットは用途が限られているのである程度問題ないということがいえる。

現在では最もよく使うメインのデバイスとしてはスマホを据える人が多く、タブレットというのはそれを補完する「サブ機」である。そう考えれば「Microsoft Office」や「Zoom」といったテレワーク向けアプリや「ibisPaint」などのクリエイティブアプリを用意し、アプリが用意できないもの(Google製アプリであるYouTubeなど)はブラウザから使ってね、というスタイルを取れば案外なんとかなってしまうのだ。実際、同じようなスタンスで売っているAmazonの「Fire HD」シリーズ(こちらもGoogleアプリ非対応)は大ヒットを飛ばしている。

 

そして5G対応のSoCが買えないという点についても、タブレットならWi-Fiモデルのみを展開しても大丈夫である。スマホでモバイルデータが使えないのは致命的だが、タブレットにおいてはSIMが入らないWi-Fiモデルも一般的である。実際、iPadなどの中古市場を見ていても、流通量が多いのは圧倒的にWi-Fiモデルのほうだ。

 

このように考えると、Huaweiは「ふつうのスマホ」こそ作れなくなってしまったが、「ふつうに使えるタブレット」ならまだ案外作れてしまうということがわかる。しかもHuaweiには何年も前からAndroidタブレットを作り続けてきた実績もあるのだ。Huaweiタブレットに力を入れる理由がおわかりいただけたと思う。

 

今は未来への投資の段階、それゆえのイラコン開催

最近になってHarmonyOSの搭載を始めたHuaweiタブレットは、一般的なAndroidタブレットとはまた違った独自の操作性を手に入れつつある。立ち位置としては、どちらかと言えばiPad寄りの場所を目指しているように見える。既存のタブレットとの棲み分けを図ることで、商品力を上げていこうというわけだ。

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「MatePad 11」商品ページ(https://consumer.huawei.com/jp/tablets/matepad-11/)より

しかし、これだけではHuaweiタブレットはまだ売れない。市場を見渡せばiPadやFire HDのほか、最近ではモバイルモニターにもなるLenovoの「Yoga Tab 13」なども競合として存在しており、Xiaomiが格安ハイエンドタブ「Mi Pad 5」を日本にも投入するのではないかという噂もある。Huaweiがこれらの競合を出し抜き、MatePadシリーズを売るためには、他社とは違う「次の一手」が必要になってくるわけだ。

 

そこで今回のイラコンというわけである。豪華な審査員と賞品を用意することで多くのクリエイターに訴え、同時に「Huaweiタブレットはクリエイティブ用途にも使える」というイメージを浸透させる。さらにコンテストの優勝者にはMatePad 11がプレゼントされるということで、これはつまり「将来有望なクリエイターの卵がMatePadを使ってくれる」ということに他ならない。上手くいけばそれを見た他のクリエイターまでもが「MatePad、いいかも」と思い手に取ってくれるかもしれない。そうしたことを通じてMatePadが「クリエイター向けタブレット」としての地位を確立できたなら、Huaweiタブレットの未来は安泰だと言っていいだろう。Huaweiがこのように力の入ったイラコンを開催するのは、そのような未来に向けての先行投資の一環だと僕はにらんでいる。

 

まとめ:道は険しいが、頑張ってほしい

もちろん、実際にはそんなにとんとん拍子には行かないことだろう。タブレットの王様たるiPadはMatePadより豊富なクリエイティブアプリがすでにあり、しかもゲームにも強いという手ごわいライバルである。Fire HDはMatePadよりできることが少ないが、Amazonセールなどで大幅な値引きがなされるためコスパは圧倒的だ。Lenovoも積極的に新製品を投入しているし、上述の通りXiaomi参入の噂もある。日本のAndroidタブレット市場が今後レッドオーシャン化していくのは必至であり、Huaweiは今後も厳しい戦いを強いられることだろう。

 

実は僕自身もiPadを使っている。当然MatePadとの比較検討もしたのだが、僕の場合は音ゲーをやることが主な目的だったためiPadを選ばざるを得なかった。2019年発売のHuaweiタブレット(MediaPad M5 lite 8)も持っているのだが、やはりiPadほどはできることが多くないためあくまで「サブタブレット」としての利用にとどまっている。

個人的にはHuaweiが好きなので、MatePadシリーズの今後にとても期待しているし、応援したいとも思っている。とりあえず今回のコンテストには参加してみようと思う。そんな簡単に賞なんてもらえないことは百も承知だが、枯れ木も山の賑わいということもある。Huaweiが先行投資としてコンテストを開催するなら、せめてそれを賑わせるくらいはしたいのだ。

 

相変わらず大変な状況ではあるが、Huaweiの未来に幸あれと心から願う。

 

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