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【18きっぷ日本縦断#1】揺れまくるキハ40で突き進む。指宿枕崎線乗車記【枕崎~鹿児島中央】

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今回は、2022年3月に行った「18きっぷ日本縦断」旅行記の第1回として、枕崎駅から乗った指宿枕崎線の始発列車の乗車記をお届けしたい。JR線として最南端の地を走るこのローカル線は、山あり・海あり・揺れあり、の乗りごたえたっぷりの路線だった。

 

前回の記事はこちら↓

39anartwork.hatenablog.com

 

はじめに:今回の旅行について

今回の旅行の趣旨は、青春18きっぷ1枚を1人で使い、5日間かけて普通列車だけで日本を縦断、つまり鹿児島県南端の枕崎から北海道北端の稚内まで行くというもの。地図に書き起こすと、1日目~5日目でそれぞれ次のようなルートをとることになる。

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1日目はピンク、2日目はオレンジ、3日目は黄緑、4日目は青、5日目は紫の区間を移動する

今回の記事では1日目、指宿枕崎線の始発列車(枕崎6:04発、鹿児島中央行)に乗車してきたようすをお届けしていく。

 

まだ真っ暗な枕崎駅

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朝5時45分ごろに枕崎にやってくると、辺りはまだ真っ暗だった。青黒い空の下、駅舎の明かりと列車のテールランプがひときわ目立っている。この駅が、これから始まる日本縦断の旅のスタートラインとなる。

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枕崎から乗車するのは、キハ47型の2両編成。1980年前後に製造され、活躍期間はそろそろ40年を超えてきている。エンジンやシートモケットの更新は受けているが、それにしても重厚な風格が漂うディーゼル車だ。JR東日本や東海ではすでに現役を退いているが、九州では今でもバリバリの現役。まずはこれに乗って、この列車の終点・鹿児島中央を目指していく。

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枕崎は無人駅ということで、このように乗車駅証明書を車内で発券している。今回は青春18きっぷなので別にもらわなくてもいいのだが、せっかくなので1枚もらっておいた。旅の記念になるし、今回なら稚内まで持っていき、駅名標とツーショットでも撮ればなかなか楽しそうだ。

 

枕崎~指宿:南の果てを走る末端区間

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発車直前の枕崎駅のようす

枕崎を発車。この時点で車内のお客さんは3人。出で立ちから察するに全員旅行者のようで、この時点では地元の利用者はいないようだった。

列車には途中まで誰も乗ってこなかったのだが、枕崎から7駅目の石垣で複数人の乗車があった。中には、駅まで車で送ってもらってきていた高校生もいた。まだ朝6時半なのに家を出ないといけないなんて、ずいぶん大変なんだなと思う。次の御領でも何人か高校生が乗ってきた。制服が同じなので、どうやらみんな同じ学校のようだ。「はよ」「っはよ」とあいさつを交わす場面も見られた。

さて、指宿枕崎線といえば、列車の揺れがものすごいことでも有名な路線だ。実際に乗っていても、まあたしかによく揺れる。朝ごはんに車内でパンを食べたのだが、揺れのせいでお腹がシェイクされてちょっと気持ち悪くなってしまうくらいには揺れていた。

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ちなみにこのとき食べたパンは、前回の記事でも紹介したキングチョコ。チョコクリームをはさんだパンにさらにチョコをかけた、鹿児島の名物パンである。それに野菜ジュースも飲んで栄養補給はばっちりだ。

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ところで、枕崎発車後しばらくは、車窓右手に薩摩富士こと開聞岳が常に見えている。しかし写真を撮ろうと思うと、おそらく風や波なんかから線路を守るための鉄道林が手前にあるのでシャッターチャンスは意外に短い(実際、何回も撮影失敗した)。ちなみに鉄道林の木の枝は伸びに伸びており、ガリガリガリッ!と音を立てながら車両を盛大に擦っている。ローカル線らしい光景だろう。

 

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西頴娃(にしえい)で行き違いの列車とすれ違う。数分の停車時間があるのでホームに降りてみると、ほんのり潮風のにおいがした。ここは山川より先の末端区間では最も乗降客数の多い駅のようで(178人/日)、ここで高校生がたくさん乗ってきた。乗り込むなり車両真ん中のボックスシートに集まって勉強会を始めるようだったので、邪魔してはよくないと思い車端のボックスシートに移動。どこでもそうだが、ローカル線の主役は通学定期の高校生なんだなあと改めて実感する。

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次の頴娃を過ぎると、さっきまで遠かった開聞岳がいつの間にか近づいている様子を見ることができる。標高924mと、全国的に見てすごく高いわけではないようだが、近くで見るとずいぶん立派で美しい山体をしている。

 


ちなみに、JRで日本最南端の駅こと西大山はこのあたりの区間に位置している。……のだが、うっかり写真を撮り損ねてしまった。残念すぎる……。日中ならだいたい数名の下車がある観光客の多い駅のようだが、この列車は始発ということもあり、とくに乗降はなかったと記憶している。

 

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ここまでは山や平地など「陸」の車窓が中心だったが、山川に着く直前で、車窓は一気に海ビューになった。そして山川と、続く指宿からはここまでで1番の乗車があった。やはり高校生が中心ではあるが、指宿駅周辺などにホテルが集まっていることもあり観光客も少なくないようだった。

 

指宿~鹿児島中央:観光地から都会に抜ける近郊路線

指宿を出ると、先ほどから十分強かった揺れはピークに達する。死ぬほど揺れる。そして次の二月田では、ここまで車内を埋めていた高校生の子たちが一気に降りていった。どうやら高校が近くにあるらしい。ただここからは観光客の乗車も多く、車内が閑散とすることはなかった。

ここまでは後ろの車両に乗ってきたのだが、ここでお手洗いに行くために前の車両に移動。思った以上に混んでいてびっくりした。考えてみれば通学時間帯なので当たり前なのだが、やっぱりワンマン列車では後ろの車両に乗るほうが絶対にいいなと思った(ワンマン列車では、後ろの車両のドアは開かない駅が多い)。

 

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宮ヶ浜のあたりまで来ると、車窓には再び海が見える。山川の近辺でもそうだったが、指宿枕崎線から見える海は基本的に内海の鹿児島湾。波はおだやかで、奥には対岸の大隅半島まで見渡すことができる。写真では養殖の設備のようなものも写っているが、鹿児島湾ではブリ、ワカメ、アサリなどの養殖が盛んなんだとか。どこかで下車しておいしいお店でも探したい衝動を抑えつつ、先へと進んでいく。

薩摩今和泉では、また別の高校の学生さんたちが大量に下車。けっこうな人数を吐き出していった。車内はまた閑散として、一気に観光客の割合が増える。

 

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生見(ぬくみ)駅では、キハ40の4両編成とすれ違った。ローカル線を主戦場とするキハ40を4両もつないでいる光景というのは、今となっては全国的にもわりと珍しい。これもまた、利用が多い通学時間帯ならではの光景なのだろう。

 

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前之浜のあたりでは、海沿いを走る国道226号と並走する。ともに海岸線からけっこう近いところを走っているため、なかなかの絶景だ。列車から眺めて楽しいのはもちろんのこと、いつか車でも来てみたい…!と心から思った。駐車場つきの展望台もあるようなところなんだとか。

 

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五位野あたりまでくると、もう鹿児島市内ということもありにわかに市街地が見え始める。はるか遠くまで続く街並みを見ると、鹿児島市もなかなか都会なんだなあと思わされる。調べてみると、鹿児島市の人口はおよそ60万人弱。これは小倉や門司を擁する北九州市の3分の2くらいの数字であり、そう考えると鹿児島市もなかなかの規模の街であることがわかる。

とはいえ列車は相変わらずよく揺れる。お腹の中で臓物ががグワングワンと言う感覚があるくらいにはよく揺れる。市街地が近づくにつれて増えてきた他のお客さんも、されるがままにゆっさゆっさされていてなかなかシュールな様子。なんだこれ。

 

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しかし、その揺れは長くは続かなかった。2016年に完成したばかりの、真新しい高架の区間に入ったのだ。慈眼寺も高架駅となっており、すごくきれいだ。乗ってくる人もそれなりにいる。このあたりまで来るともう本格的に鹿児島市街が始まるようで、市街地を見下ろせる区間があったり、併走する道路が渋滞していたりした。

慈眼寺駅の近辺には、その名の通り慈眼寺というお寺があったらしい。これは飛鳥時代から続く立派なお寺だったが、明治2年廃仏毀釈(国家神道を広めるため、仏教を制限する国策)により取り壊されたんだとか。現在その跡地周辺は慈眼寺公園として整備され、時期によって桜や紅葉、ネモフィラなどを楽しめる癒しスポットになっている。今初めて知ったスポットだが、次鹿児島に来るときにはぜひとも寄ってみたい。

 

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慈眼寺発車後も、列車は引き続き立派な高架区間を走り抜けていく。ピカピカだし、全然揺れないし、指宿枕崎線ってこんな区間もあるのか!とびっくりした。

f:id:MihanadaMikan:20220331223813j:plain谷山ではまたキハ200とすれ違った。写真左上のサイネージを見ると、見るとこの時間は30分以下の間隔で次々に列車が来ることがわかる。もっともその大半は喜入や指宿など、途中で折り返す列車なのだが。ちなみにここ谷山は、指宿枕崎線の途中駅で最も乗降客数が多い駅でもある(5,580人/日)。これは今回の旅の起点・枕崎駅の100倍以上にもなる数字であり、いかにこのあたりの区間が利用されているか、そしてこのあたりの区間に利用が偏っているかがよくわかる。

 

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谷山を出ると列車はまた、地上のよく揺れる線路に戻り、市街地の中を縫うように進んでいく。南鹿児島あたりからは市電とも併走する。

 

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鹿児島中央に着く直前には、鹿児島車両センターの車両基地も見える。キハ40や415系といった国鉄時代からの車両が当たり前のように並んでいる光景も、今ではすっかり珍しくなった。

 

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それが終わると、ほどなくして列車は終点・鹿児島中央に到着。県下最大の都市の中心駅、かつ九州新幹線の終着駅ということで、かなり規模の大きな駅だ。枕崎は無人駅だったので、ここで18きっぷにハンコを押してもらった。

 

乗り通してみての感想

さて、枕崎から2時間49分という時間をかけて鹿児島中央まで乗り通したわけだが、まず感想としては「けっこう長かった!」というのがあった。観光特急の「指宿のたまて箱」以外は各駅停車しか走っていないことや、意外に混み合う区間が多いことも、体感時間を長くしている理由のひとつだろう。ただ、沿線の景色は山、海岸、市街地とバラエティーに富んでおり、ヘビーな乗車時間なりに車窓を楽しめるのはすごくよかった。最南端の地を走る単線非電化のローカル線とあって、旅情がバッチリなのも素晴らしい。

また、「指宿枕崎線はよく揺れる」というのは一部で有名な話ではあるが、これに関しては事実だったと言わざるを得ない。揺れは実際にひどいので、これはもう割り切って「これも旅情のうち!」と楽しんでしまうのが一番いい気がする。乗り物に酔いやすい方は、くれぐれも酔い止めの用意を忘れないように気を付けていただければと思う。

 

次回予告

次回は、鹿児島中央で乗り換え時間にいただいたバナナジュースを軽くご紹介しつつ、鹿児島本線(鹿児島中央~出水)の乗車記を書いていく予定。投稿が済んだらリンクを追記します。

(2022.4.19追記)次の記事はこちらです。鹿児島本線肥薩おれんじ鉄道(川内~出水)の乗車記となっています。よければこちらもお読みください↓

39anartwork.hatenablog.com

 

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※この記事内の情報は、2022年3月23日現在のものです。最新の情報については、各社のWebサイトなどで随時確認をお願いします。

 

前回の記事はこちらから↓

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