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【18きっぷ日本縦断#02】予想以上に海の絶景・肥薩おれんじ鉄道と鹿児島本線乗車記【旅行記】

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今回は前回の続きとして、青春18きっぷで日本縦断の旅をしたときの旅行記をお届けしたい。第2回では、海の絶景路線・肥薩おれんじ鉄道の乗車記、ならびに鹿児島本線の様子を、前編後編に分けて記していく。

前回の記事はこちら↓

39anartwork.hatenablog.com

はじめに:今回の旅行について

今回の旅行の趣旨は、青春18きっぷ1枚を1人で使い、5日間かけて普通列車だけで日本を縦断、つまり鹿児島県南端の枕崎から北海道北端の稚内まで行くというもの。地図に書き起こすと、1日目~5日目でそれぞれ次のようなルートをとることになる。

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1日目はピンク、2日目はオレンジ、3日目は黄緑、4日目は青、5日目は紫の区間を移動する

 

鹿児島中央駅と「神バナナ」のジュース

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ここまで乗車してきた指宿枕崎線のキハ40と、鹿児島本線を走る817系電車

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鹿児島本線からやってきた415系電車

指宿枕崎線で終点・鹿児島中央にやってきた。県庁所在地である鹿児島市の中心駅、そして新幹線停車駅とあって規模は大きく、6番線まである在来線ホームにもさまざまな車両がやってくる。

鹿児島市の人口は約59万人。これは多摩エリア最大の都市である八王子市(約58万人)と肩を並べる数字であり、鹿児島市もかなり大きな都市であることがわかると思う。そんなエリアの中心駅とあって、駅前にはイオンやビックカメラといった大型店舗のほか、「一番街」や「ベル通り」といった商店街も発達している。

 

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当駅で乗り換え時間が40分ほどあったので、そのベル通りにある「タナカバナナ」さんでバナナジュースをいただいてみた。砂糖や甘味料は使っていないとのことだが、飲んでみるとこれがびっくりするほど甘い。鹿児島でとれる「神バナナ」というバナナを使っているとかで、濃厚な甘さがなかなか絶品だった。今回はタイトな旅程なので、このような"その土地ならではの美味しいもの"を味わうことができたのも貴重な機会でよかったと思う。

www.tanaka-banana.com

 

鹿児島本線(鹿児島中央~川内)

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乗車する列車。817系電車の2両編成

ホームに戻ってくると、クロスシートの817系の2両編成が止まっていた。ここからは、この川内行きの列車に乗っていく。車内は立ち客こそ出ないものの、補助席まで含めて大体の席が埋まる程度の混み具合。

列車が走り始めると、車両が全然揺れないことに驚く。もっとも、どう考えても、先ほどまで乗っていた指宿枕崎線が揺れすぎだっただけなのだが。さすが本線と名が付くだけあって、走りは極めて快適。

 

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817系のクロスシート

817系のシートもまた、大きくて柔らかなヘッドレストがついていて快適で嬉しい。木材とブラックレザーを組み合わせた質感というのも、普通列車ではなかなか見かけないおしゃれなものだ。これは観光列車のデザインでおなじみのデザイナー・水戸岡鋭治氏によるもの。

実際に座ってみると、見た目だけでなくちゃんと座り心地も考えられていることがわかる。背ずりは一見固そうに見えるのだが、座ってみると「クッションが欲しい場所」にはちゃんとクッションがあてがわれている。リクライニングの角度もちょうどよく、少なくとも先ほどまで乗っていたキハ40のボックスシート(国鉄型車両でよくあるやつ)よりは数倍快適でありがたかった。

 

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鹿児島中央を出ると、いきなり山深いところを走る。駅が近づくたびに山あいに街が現れる車窓はなんとも旅情があっていい景色だ。個人的にもこういう車窓はなかなか好きなのだが、川内の近くまで同じような景色がずっと続くので、正直そんなに書くことはない。途中に大都市はなく、ゆえに大規模なお客さんの入れ替わりもなく、そこそこの人数を乗せたまま終点・川内へと到着した。鹿児島中央と同様に、ここも九州新幹線との乗り換え駅だ。

 

肥薩おれんじ鉄道(川内~出水)

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川内からは、肥薩おれんじ鉄道に乗車する。もともとJR鹿児島本線だった線路が、九州新幹線の開業とともにJRから切り離された第三セクター鉄道だ。始発の川内駅では、鹿児島本線のホームの端っこに乗り換え改札が作られていた。この路線、今はJRではないので、当然ながら18きっぷでは乗車できない。

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点線の区間は、本数の少なさや災害による寸断によって利用できない。

なのになぜそんなルートを通るのかというと、ほかに選択肢がないからだ。鹿児島から北へ向かうルートには

の3種類がある。しかし日豊本線ルートは早朝と夜の1日2本しか普通列車が走っていない魔境の区間があり、もう一方の肥薩線ルートは大雨の影響で長期運休となっている。旅程を5日間に収めるためには、消去法的に肥薩おれんじ鉄道を選ぶしかなかったわけだ。

現在は販売終了しているが、この旅行をした2022年3月時点では「期間限定1dayのれる切符」というフリーパスが発売されていたのでこれを利用した。価格は1,500円。川内~八代をふつうに乗り通すと2,670円かかるので、片道の通し利用でも十分元が取れる太っ腹なきっぷだった。

 

列車に乗り込むと、乗っている人はあわせて5人といったところ。もっぱら地元の方のようだ。さっきまでの川内行き電車にはもっとたくさん人が乗っていたのだが、大半の人は川内で降りてしまったらしい。この路線がJRから切り離されたのは、ざっくり言うと「民営のJRだと採算が取れないから」ということなのだが、この利用状況を見ているとなるほどなあと思わされる。ただ2013年度の営業係数は123(=100円稼ぐのに123円の経費がかかる)と、実はそこまでの大赤字路線というわけでもない。

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この列車は、1両編成のディーゼルカーで運転されている。肥薩おれんじ鉄道は交流電化されているのだが、交流電車は高価なので経費削減のためにディーゼル列車を走らせているらしい。軽快気動車特有のゴォーッという音を立てて、列車は進んでいく。さすがは元鹿児島"本線"なだけあり、かなり快調に飛ばしていくのが楽しい。

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車内には、こんなふうにミニテーブルもついている。弁当やパソコンまではさすがに置けないだろうが、お茶と時刻表くらいならなんとか置ける。こんな机でもあれば助かるものだし、なんだか旅情も増す気がする。

 

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薩摩高城(さつまたき)のあたりで、列車は山を抜けて海沿いに出る。山から海に一気に変化する車窓が楽しい。旅をしてるって感じがする。

その次の西方駅までの間では、車窓に景勝地・西方海岸を望むこともできる。東シナ海に向けて開けた海岸で、これはたしかに壮大な景色だった。車内アナウンスでも案内が入るなど、早くも車窓のハイライトのひとつがやってきた感じだ。景色が魅力的なぶん、天気が良くないのが本当に残念すぎる……。よく晴れた日なら、遠くに甑島を望むこともできるんだとか。

 

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列車はその後も、山の景色と海の景色が交互に入り交じるようなところをひた走っていく。今回肥薩おれんじ鉄道に乗ったのは「肥薩線が不通だったから」であり、正直やむなく乗るくらいのつもりだったのだが、いざ乗ってみると旅のメインディッシュを張れるくらい楽しい路線だった。乗っていてめちゃくちゃ楽しい。車内が空いてるのもすごく良い(やっぱり経営は心配になるけど)。

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牛ノ浜では「放課後ていぼう日誌」のラッピング列車とすれ違い。調べてみると、熊本のこのあたりを舞台にした漫画(とアニメ)のようだ。絵がきれい。

 

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海、山、海、海、山、海…みたいな贅沢な車窓もさすがに折口あたりまでくると見納めとなり、このあたりではローカル線らしい景色というか、ルーラルランドスケープというか、いい意味で田舎っぽい風景の中を進んでいく。これはこれで心が落ち着く、旅情溢れる景色でとても楽しい。というかさっきからずっと"旅してる感"がすごい。

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ちょっと雨が強くなってきたが、高尾野ではEF81型機関車の貨物列車とすれ違い。いかにもローカル線のような顔をしているこの区間だがそこは元鹿児島本線。今も貨物列車にとっては日本を縦断する大動脈の一部なのだ。第三セクターになったとはいえ、これに関しては元「本線」の風格が未だに残っている部分だといえる気がする。肥薩おれんじ鉄道が大赤字にならずに済んでいるのは、JR貨物から支払われる線路の利用料の存在も大きいのだろう(たぶん)。

 

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右奥に新幹線の高架が見える

列車は高尾野の2駅先、出水に到着した。ここは九州新幹線との乗換駅で、肥薩おれんじ鉄道線にとっても大事な拠点となっている。到着の直前には、車庫や社屋の姿も見えた。列車はこの駅で13分停車するということなので、フリーパスの特権を活かしてちょっと改札の外に出てみることにする。

 

出水駅をサクッと散策

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出水駅の駅舎はこんな感じ。新しい建物に見えるが、もともとは国鉄時代に荷物係の人などが詰所として使っていた建物を改装したものなんだとか。国鉄が荷物輸送(チッキ)をやっていたのは1986年までなので、意外にも歴史ある建物であることがわかる。その右に見えるのは1951年築の旧駅舎。

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その駅舎の脇にあるエスカレーターを上ると、線路をまたぐ自由通路に出る。これは新幹線の出水駅(写真右に写っているやつ)にアクセスするためのもの。1日の利用者数は805人/日(2020年度)と決して少なくはないが、このときは平日の昼間ということもあり通路は閑散としていた。

 

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駅前には、このように「C56 92」というSLが展示されている。お召列車(皇族のための専用列車)のけん引役も務めた実績もある、由緒ある機関車だということだ。こういう保存SLだと雨ざらしでボロボロのものも多いのだが、この個体は屋根の下で保存されていて塗装もきれいだった。地元の方に丁寧に管理してもらえていることがよく伝わってくる。

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運転席の中を見学することもできる……のだが、正直SLの知識がなさすぎてどの部品が何のためのものなのかさっぱりわからない。元々はどの部品も黒1色だったと思うのだが、この機体では彩度高めのド派手な塗り分けがなされているのが特徴的だった。色合わせがまんまきかんしゃトーマスだが、なぜこの塗装が施されたのかはよくわからない。

 

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SLつながりで言うと、肥薩おれんじ鉄道のホームの脇にはD51機関車の動輪も保存されている。こちらはちょっと塗装がはがれてしまっているが、肥薩おれんじ鉄道気動車が行き来するのを静かに見守っているようだ。

 

ちなみに、駅前にコンビニなどはないようだ。かつては百貨店なども駅前に構えていたものの、時代とともに衰退してしまったんだとか。いい感じの店があったらお昼ご飯でも……と思ったが、残念ながら叶わなかった。まあないものは仕方ないので、駅舎の自販機でお茶だけ追加購入しておいた。

 

次回予告

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記事が長くなってきたので、この先の区間(出水~八代)のようすについては記事を分けることにします。記事が書けたらリンクを追記します。

 

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※この記事内の情報は、2022年3月23日現在のものです。最新の情報については、各社のWebサイトなどで随時確認をお願いします。

 

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