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ガジェットと旅行記

【18きっぷ日本縦断#04】国鉄電車の爆走と関門トンネル。鹿児島本線、山陽本線(熊本~徳山)乗車記

今回は、青春18きっぷで日本縦断の旅をしたときの旅行記の続きを書いていく。第4回では、415系115系といった昔ながらの国鉄電車で鹿児島本線山陽本線を一気に上っていくする様子をお届けしていきたい。

前回の記事はこちら↓

39anartwork.hatenablog.com

はじめに:今回の旅行について

今回の旅行の趣旨は、青春18きっぷ1枚を1人で使い、5日間かけて普通列車だけで日本を縦断、つまり鹿児島県南端の枕崎から北海道北端の稚内まで行くというもの。地図に書き起こすと、1日目~5日目でそれぞれ次のようなルートをとることになる。

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1日目はピンク、2日目はオレンジ、3日目は黄緑、4日目は青、5日目は紫の区間を移動する

 

ピカピカの熊本駅に現れた、ピカピカじゃない電車

熊本駅に停車する三角線のキハ40

三角からの折り返し列車で、熊本駅までやってきた。三角線宇土までの路線なのだが、宇土から先も鹿児島本線に乗り入れて熊本まで顔を出している。

熊本駅は、このようにピカピカの高架駅。2019年に完成したばかりのもので、著名な建築家の安藤忠雄氏が設計を担当している。安藤忠雄デザインの駅舎といえば、真っ先に思い浮かぶのは2008年完成の渋谷駅。これについては正直「使いにくい…」という声もちょくちょく耳にするのだが、一方で熊本駅に関しては、ちょっと歩いてみた感じ特に使いにくさは感じなかった。普通にきれいで、普通におしゃれな駅舎だ。

 

そんな駅舎をもっとじっくり散策したかったけれど、乗り継ぎ時間があまりないので仕方なくホームに戻り、次の鳥栖行きを待つ。ホームにやってきたのは415系電車。1970年代に製造された歴史ある交直流電車だが、このピカピカの駅の中ではちょっと肩身が狭そうだ。まさかここで遭遇できるとは思っていなかったのだが、せっかくなので貴重な乗車機会を楽しんでおこうと思う。

415系の車内はこんな感じで、紫モケットのロングシートが並んでいる。もともとはボックスシート(向かい合わせの座席)が中心だったのが、ラッシュ対策で改造されてこのようになったようだ。このロングシートはなかなか横幅が広く、1脚あたり10人が並んで座れるほどだった。

 

爆走!鹿児島本線

数十人程度の乗客を乗せ、身軽な列車はゆっくりと熊本駅を発車した。相変わらず曇りのような小雨のような、なんとも言えない微妙な空模様が続いている。

熊本を出てしばらくは目新しい高架区間。2001年から18年もかけて整備した高架らしく、先ほどの熊本駅と一体の整備事業として作られたものらしい。崇城大学前あたりまで来ると高架も終わり、この駅では名前のとおり崇城大学の学生と思しい人達が数人降りていった。

その後もいくつか崇城大学のキャンパスを見送ると、列車はいつの間にか熊本市街を抜けていた。崇城大学のキャンパスはかなり広いようで、学生数も3,600人以上となかなかのもの。大学のHPを見ている感じだと、地元からの進学の人が多い学校のようだ。

その後もしばらくは緑の多い地方の町並みを走っていたと思うのだが、今朝の早起きのせいかここで寝てしまいしばらくの間の記憶が無い。まぁ、寝られる程度の混み具合で快適ということで…。

紫モケットのシートに黄色のトイレ扉、というユニークな車内

線形のいい鹿児島本線を、415系は爆走していく。車内は国鉄型車両のモーター特有の咆哮で満たされている。……と思ったが、速度計アプリを見てみると時速は100km/h程度しか出ていない。爆音のせいか、体感速度はもっと速い気がする。

いつの間にか雨も上がり、南瀬高あたりまで来ると周りは夕陽に照らされていた。今日が終わるんだなぁ…と一瞬思ったが冷静に考えて今日はまだ関門海峡を超えて山口県・徳山まで行かないといけないのだ。感慨に浸っている場合では全くない、と気を引き締めなおす。

 

羽犬塚で811系の区間快速に乗り換えた。先ほどの鳥栖行きは各駅停車だったので、この先はこれに乗り換えていくのが速い。

811系は、JR九州設立直後の1989年にデビューした快速用の電車。やはりJRになってからの車両で、座席もクロスシートとあって快適で嬉しい。ただやはりデビューから30年以上経っているだけのことはあり、内装はちょっとくたびれた印象だった。座席のモケットは、415系と同じ紫に更新されていた。

久留米あたりまで来ると、さすがに市街地が増えてくる。久留米は人口30万人の都市で、タイヤでおなじみのブリヂストンが創業した工業都市でもあるのだ。人口あたりの焼き鳥屋の軒数が日本一というデータもあるようで、"九州"の"大都市"であることを実感させられる。今日の行程でなかなかこれだけの市街地を見ることは少なかったので、おおっという気になる。久留米を出てしばらくは、今度は田園地帯を新幹線とともに快走していくことになる。

原田駅。ここからは筑豊本線が分岐している。筑豊炭田とともに発展してきたこのエリアでは、かつて石炭輸送のために敷かれた線路があちこちの駅から分岐しており、都市の規模のわりに異常なほど線路が分かれまくっているのだ。

https://www.jrkyushu.co.jp/railway/routemap/

九州北部の路線図を見ると、そのあたりのこともよくわかるかと思う。今回は時間の都合でスルーしてしまうけれど、いつか全部乗りに来たいところだなぁと思う。

竹下近辺では、西側に博多運転所の車両基地が見える。この日は、なにやら見たこともない車両が止まっていた。調べてみると、これはJR西日本の事業用車で「DEC741」というらしい。去年デビューした新型の電気検測車で、今回は関門海峡を越えて九州まで出張してきたようだ。思いがけずレア車両が見られて嬉しい。

 

博多からは一気に人が増えた。進んでいる方角的に、この列車は「平日夕方の下り列車」となるわけで、当然のように満員電車となったわけだ。写真を撮る余裕もないので、リュックを膝に乗せてじっと耐える。吉塚でも人が乗ってきたが、千早で何人かが降り、香椎ではけっこうな人数が降りていった。福工大前ではまたちょっと増え……など細かな増減を繰り返し、最後は赤間で一気に降りたことで車内にはふたたび余裕が生まれた。

赤間をすぎるころには、もう日もすっかり落ちかけていた。

この区間を乗っていてひとつ気づいたこととして、博多と小倉は意外と離れている、ということがある。僕たち他県民はどうしても山陽新幹線のイメージが強いので「新幹線は九州入りする小倉までが本番で、小倉から博多までは消化試合」みたいなイメージを抱いてしまいがち……な気がする。しかし実際にはこの区間、在来線で移動すると1時間以上かかるけっこうな距離である。福岡の大きさというか博多の位置感というか、なんとなく持っていたイメージが色々と覆されていく。

そんなこんなしているうちに、電車はそこそこの混み具合で終点・小倉に着いた。

 

駅そばならぬ「駅かしわうどん

今の時刻は、夜7時を回ったところ。そろそろ夕飯が食べたいところだが、残念ながら次の列車まで20分くらいしかない。改札から出て博多ラーメンでも……と一瞬思ったのだが、さすがにちょっとその時間はない。

改札内のお店でかしわうどんを売っていたので、夜ご飯としてそれを食べた。北九州地区ではポピュラーな鶏肉がのったうどんで、クッキングパパにも登場したことがあるとかないとか。ほろほろした鶏肉とプリッとしたわかめがおいしくて、身も心も満たされる思いだった。それにこの日は3月にしてはかなり寒かったので、温かいうどんは身に染みてかなりありがたいものだった。

時間がないなりに、なんとか朝、昼、夜とその土地らしいものが食べられたのも嬉しかった。ちなみに小倉駅ではホーム上と連絡通路上に店舗があるのだが、今回利用したのは連絡通路のほう。

 

夜の関門海峡越えと暗闇のデッドセクション

これから乗る415系の下関行き。奥にはキハ40も見える

うどんを食べたら、下関行きの普通列車に乗り込む。たった1日で九州を抜けてしまうのはもったいない気もするし、後ろ髪引かれる思いではあったけれど、このあとの都合もあるので今夜のうちに関門海峡を超えてしまうことにする。

車両は415系、先ほど鹿児島本線で乗ったのと同じ車両だ。次の門司駅から先は電化の方式が交流から直流に切り替わるので、ここは交直両用である415系が確定でやってくる区間になっている。

明るいホームと暗い車内

小倉の次の門司に止まっていると、ふいに車内の照明が落とされた。上述の通り、このあとデッドセクション(交流と直流の変わり目にあたる、架線の切れ目)を通過するのだが、その前にちゃんと交直を切り替えられるかどうかテストしているということのようだ。交直の切り替えの最中は電気が流れてこないので、当然車内灯も消えるわけだ。

よく見ると写真左上の非常灯だけは点灯している

門司を発車すると、ほどなくしてまた照明が落ちる。上述の通り、電気が流れていないところを通過しているからだ。夜ということもあって車内はけっこう真っ暗なのだが、他のお客さんは慣れているのか、とくに動じることもなくスマホをいじったりしている。

それが終わり車内灯がつくと、ほどなくして列車は関門トンネルに入る。もちろんトンネルなので外は見えないが、トンネル内の非常灯が次々に車窓を流れていくのがわかる。ゴォーッと反響するモーターの音が車内を埋めている。

関門トンネルは、第二次世界大戦の最中である1942年に開通した海底トンネル。本州と九州だけでなく対馬、朝鮮、そして満州までを結ぶ「大東亜縦貫鉄道構想」を思い描く陸軍の後押しもあって、突貫工事で建設されたそうだ。もちろん結果的にはそうはならなかったわけだが、旅客や貨物の大動脈として今も活躍を続けている。

数分走ったのち列車はトンネルを抜け、あっという間に終点・下関に到着した。小倉からわずか14分の旅路ながら、乗りごたえのある区間だった。

 

国鉄電車の聖地・下関駅

終点の下関は、これまた歴史あるターミナル駅。瀬戸内海沿いを抜けて一路神戸を目指す山陽本線と、日本海側の島根や鳥取、豊岡などを経て京都へ伸びる山陰本線が分岐し、そこに九州からの列車もやってくるとあって、当駅を発着する列車もバラエティに富んでいる。

山陽本線115系。「末期色」と揶揄される真っ黄色の塗装だが、個人的にはわりと好き

山陰本線のキハ40。九州の車両は白地に青線だったが西日本の車両は朱色

先ほどまで乗っていた415系。よく見ると奥の115系と同じ顔をしている

下関駅で特徴的なのは、やってくる列車がすべて国鉄型だということ。JRが発足してからすでに35年が経過しているが、未だに新型車が全く来ない状態を保っているというのは特筆すべきことだろう。個人的には「国鉄型こそ最高」とか「JR型の電車はつまらない」とか言うつもりはさらさらないのだが、とはいえこのレトロ感に旅情を感じないと言えば全くウソになる。行き交う列車をボーッと眺めているだけでも楽しい。

 

夜の山陽本線を抜けて

次に乗る列車は、115系電車の徳山行き普通列車。日本縦断1日目のラストランナーで、終点の徳山までお世話になる。

この115系は3000番台というグループに属している。2ドアで転換クロスシート、という昔の新快速のような豪華なつくりが特徴的だ。もともとは広島地区の路線バスなどに対抗するために作られた車両だが、2ドアゆえ広島市街の過酷なラッシュに対応できず、今はこうして山口県内を中心に活躍しているというわけだ。今日1日でずいぶん電車に乗りまくり、身体的にはさすがにちょっと疲れてきたところだったので、最後にこんな快適な車両が来てくれたのは素直に嬉しい。

 

車窓は真っ暗で何も見えないので、長時間停車のある駅では積極的に車外に出て、ホームを散歩して気分転換をする。写真は厚狭駅。時間帯が遅いこともあり、ホームにも改札口にも人の気配すら感じられないといった状況だった。初めて降り立つ土地ということもあり、夜の静けさがいっそう身にしみる。

厚狭は山陽新幹線との接続駅であるほか、日本海側の長門市まで行く美祢線の起点駅でもある。美祢線はかつては石灰や石炭を運ぶ重要路線だったのだが、今では貨物列車はすべて廃止され、1日10本足らずの普通列車が行き交うだけのローカル線になってしまっている。いつか乗ってみたいところだが、残念ながら終電は19時台に出て行ってしまっているので今日は諦めるしかない。

 

次の長時間停車は、打って変わってピカピカの新山口駅。2018年に完成したばかりのようだ。県都の中心的な駅ということもあり、ここではまばらながら若い人の気配を感じることができた。ただ駅構内のコンビニやお店はすでに閉まっており、旅行者がこの時間に降りたとて特にすることはなさそうだった。

これは新山口に停まっていた105系という電車だが、これも先ほどの115系と同じくド派手な黄色に塗られていることがわかる。このあたりで走っている電車は大半がこの色なのだが、最近ではステンレス車体に赤いラインの新車・227系が使われる列車も出てきているようだ。

 

新山口を発車すると、列車はオーシャンビューの区間を走っていく……のだが、こんな時間に海なんか見えるはずもなく、車窓は塗りつぶしたように真っ黒だ。瀬戸内海は明日までお預けか……なんて思いながらボーッと暗闇を眺めたりしていたら、列車は終点・徳山に到着した。今日の旅程の終点だ。

徳山に着くと、反対ホームに寝台列車トワイライトエクスプレス瑞風」が停車していた。すぐに発車してしまったのでろくに写真は撮れなかったが、ここに来てなかなかお目にかかれない車両に出会うことができた。

ちなみにこの列車、最上級の部屋だと2泊で120万円以上という超豪華寝台列車でもある。18きっぷ片手に貧乏旅行をしている僕にとっては、あまりに高嶺の花だ。いつかこんなのに乗ってみたい……!と思いつつ、徳山駅のホームを後にしたのだった。

ちなみに、徳山駅の駅舎はこのように、スタバ併設の図書館と一体になった超絶おしゃれなもの。この世のものとは思えない……と言ったらさすがに大げさかもしれないが、まるで巨大な宝石のような美しい建物だった。この時は知らなかったのだが、3階部分は眺めのいいテラスになっていて出入りできるらしい。この駅舎もじっくり散策してみたい……!と思ったのだが、さすがに今日はヘトヘトでその気力はない。駅前のローソンで翌日の朝ごはんを調達し、大人しく宿へと向かったのだった。

 

次回予告

次回は、山あり海ありの山陽本線を一気に姫路まで駆け抜けます。記事ができたらリンクを追記します。

(2022.7.28追記)次の記事を更新しました。下のリンクからぜひご覧ください。

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※この記事内の情報は、2022年3月23日現在のものです。最新の情報については、各社のWebサイトなどで随時確認をお願いします。

 

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