今回は、大ヒット中のAndroidスマホ「Google Pixel 6a」を購入したので実機をレビューしていきたい。実は自分にとっては「人生初Pixel」でもあるのだが、これまで他社製Androidを乗り継いできて、そのうえで感じたPixel 6aのいいところ、微妙なところについて書いていく。
【もくじ】
- 外装について
- OSについて
- カメラ性能について
- 処理能力について
- ディスプレイの画質、スピーカーの音質について
- 生体認証について
- サイドボタンの配置について
- データの移行について
- NFCについて
- APNについて
- その他の機能について
- まとめ:割り切りポイントを理解して買おう
【関連記事】
外装について
というわけで、まずはPixel 6aの外装を見ていきたい。やはりまず目につくのは、本体上部を横切るようにブラックアウトされたカメラ部分だろう。Among Usのアバターみたいな見た目をしているが、これはこのスマホがPixel 6ファミリーの一員である証でもある。
ホワイトの色調はよく見ると2種類あり、カメラ部を境にしたツートンになっている。奇抜な見た目だなあ…と最初は思ったものだが、ずっと見ているとなんだか段々おしゃれに見えてくるから不思議だ。
ディスプレイ側はこんな感じ。インカメラの穴の大きさやベゼル(枠)の太さには正直ちょっと安っぽさを感じてしまうが、まあ実際安いので仕方ない。多少野暮ったさはあるものの、全体としては悪くないデザインだと思う。
外装で個人的にいいなと思ったのは、カメラの出っ張りがそこまで大きくないところ。Pixel 6や6 Proに比べても明らかに控え目な出っ張り方で、ケース無しで机においても端末が斜めになることはほぼ無い。
逆に、使っていて意外と気になるのは本体の小ささ。Pixel 6aは画面サイズは6.1インチ、本体の横幅は71.8mmと、昨今のAndroidスマホとしては小さめなサイズをしている。当然分かった上で買ったので文句はないのだが、長時間見ていると意外と目が疲れるし肩が凝る。僕は今まで横幅75mmくらいの端末ばかり使ってきた人間なので、このサイズ感に慣れるのはちょっと時間がかかりそうだ。とはいえ、数日使っていたらある程度は慣れてきた。
付属品はこんな感じで、データ移行用のケーブルとUSBアダプタがついている以外に目立ったものはない。クリアケースやACアダプタは付属していないのでそこは要注意。
OSについて
多くの方がご存じのように、Pixelに搭載されているAndroidはほぼカスタムされていない「素のAndroid」。これは人によって好みが分かれるポイントだが、個人的には「これはこれでアリ!」という印象だった。
痒いところに手が届かない、というのは正直あると思う。僕が以前使っていたMate 20 Proに搭載されていたEMUIでは、画面のサイドからドロワーを引っ張り出してそこからアプリを起動できたし、画面を一度スワイプダウンするだけで明るさ調節バーにアクセスできた。PixelのOSはこうした細かいところへの配慮は今一つで、小さな不便の積み重ねで「上手く言えないけどなんか微妙に使いにくい」というようなUXになってしまっている節が正直ある。ただ、数日使っていると慣れるもので、今ではほとんど気にならなくなってきている。
単純にUIの見た目という点においては、下手にカスタマイズされた他社のAndroidよりも圧倒的に抜きん出ていると感じる。マテリアルデザインの仕様書を毎年策定しているGoogleが作っているだけあって、PixelのUIも非常にセンスのいいマテリアルデザインを取り入れている。また、カスタマイズが控え目なだけに、操作感がヌルヌルサクサクで気持ちいいのも非常に魅力的。このあたりは某Xia○miの激重ROMなどに比べて圧倒的に優れているし、使っていて気分がいいところ。
個人的に「おおっ」と思ったのは、デフォルトのホーム画面に「Google Arts & Culture」からの画像が用意されていること。Google Arts & Cultureというのは、文字通りGoogleによる文化遺産のデータ保存・紹介プロジェクト。そこ由来のアートの画像を壁紙で用意してあるというのは、これはGoogle製スマホならではの要素だと言えるだろう。
といった感じで、メリットデメリットあるものの総合的には「まあこれはこれで良いよね!」という結論に達したという感じだ。
カメラ性能について
カメラの作例についてはすでにネット上に山ほど出回っているので、ここではサクッと紹介するに留めておきたい。Pixel 6aのカメラは、5万円台スマホとしては頭一つ抜けてキレイに撮れるものとなっていてコスパが非常に高い。サッと取り出してパッと撮った写真がキレイ、という、スマホカメラとして最重要な要素をちゃんと満たしていてとても良いと思う。
昼間の風景写真については、文句なしの綺麗さで撮れる。実際に肉眼で見る映像よりはちょっとビビッドなのだが、写真としての仕上がりという観点ではその方がベターだろう。
廉価グレードなので仕方ないが、光学ズームを搭載していないぶんズーム性能はそれほどでもない。高倍率になればなるほど「記録用」という感じになっていくだろう。まあ、5万円台スマホのカメラとしては文句は全くない。
暖色寄りの照明を使っている自室で撮影した、夜ごはんのカレー。カメラによってはホワイトバランスが崩れがちなシチュエーションだが、Pixel 6aのカメラはきれいに、自然な色味で、そして美味しそうに写してくれた。にんじんや鶏肉の解像感もなかなかのものだろう。
ある程度光量のある場所であれば、夜景も非常に鮮明に撮れる。ややノイズを抑えきれていない感じはあるが、パッと見て素直に「あ、きれい!」と思える写真に仕上がっているといえるだろう。5万円台で買えるスマホとしては頭一つ抜けて優秀であることがわかると思う。
画質が落ちがちな超広角もこのとおり、十分きれいな夜景写真を撮ってくれる。細部を見ればちょっと解像感に欠ける気もするが、まあスマホで見る分には必要十分だといえる。
一方、光量の少ない場所でナイトモードを使うとこんな感じになる。画としては仕上がっているものの、キレイな写真とはちょっと言い難いだろう。このあたりはちょっと限界を感じるところではあるが、値段が値段なので「撮れるだけでも御の字」という評価が妥当だと思う。
処理能力について
処理能力は十分で、日常使いにおいて性能不足を感じることは今のところ一切ない。ホーム画面の操作やWeb閲覧はもちろん、TwitterやInstagram、TikTokの読み込みでもストレスは全くなかった。
AnTuTuベンチマークを回してみると、661,753点というスコアが出た。ハイエンドのPixel 6と同じSoC(Tensor)を搭載しているので、当たり前だがスペックはなかなか高い。というか、これで不満があるという人は世の中にほとんどいないだろう。
これだけ処理能力があれば、大抵のゲームも難なく動く。推奨スペックが「SD845以上」となかなか高いプロセカも、ある程度のタイミング調整は必要なものの、性能的にはなんのストレスもなく動いていた。まあ、Pixel 6aより2世代分くらい性能の低い無印iPad(第8世代)でもプロセカはほぼ問題なくプレイできるので、当然といえば当然の話ではある。
ディスプレイの画質、スピーカーの音質について
ディスプレイの画質については不満は一切ない。最大800ニットという十分な明るさを出すことができ、有機ELなので視野角もバッチリだ。発色についてもビビッドかつ自然な色合いで、一部機種であるような「やたら青っぽい!」「やたら黄色っぽい!」といった現象もみられない。リフレッシュレートは60Hzと控え目だが、ぬるぬる動くOSのおかげでそれもさほどは苦にならない。
スピーカーの音質については「値段を考えればそこそこ良い」といったところ。ステレオスピーカーとはなっているが、天面側は受話スピーカーと共用で音量、音質ともに控え目な印象。音楽に聴き浸るような用途には使えないが、YouTubeやTikTokの動画を見る程度なら十分だろう。総じて「スピーカーは平均点」という印象だ。
生体認証について
Pixel 6aの指紋認証は、ディスプレイに埋め込まれた画面内指紋認証。そうなるとやはり認証の速度、精度が気になるところだが、これに関しては「中くらい」といった感じだった。爆速という印象はないしたまに認証失敗するけれど、実用上のストレスはそれほどでもない、といったところ。
以前使っていたMate 20 Proは、画面内指紋認証の黎明期に登場した機種なだけあって認証の速度、精度ともにやや難ありだった。それと比べれば確実に進化しており、時代の流れを感じたのだった。
それより、問題なのは顔認証がないこと。Androidだと「顔と指紋両方使える」という機種も多い(というかそちらが大半)なのだが、Pixelは代々頑なにどちらか片方しか搭載しておらず、それは6aとて例外ではないのだ。これはそこそこ不便なので、購入前に覚悟しておいた方が良い部分だと思う。
サイドボタンの配置について
Pixel 6aは、サイドボタンの配置にクセがある。これはPixelシリーズ共通の特徴ではあるのだが、ボリュームボタンの上に電源ボタンが配置されているのだ。
Androidスマホにおいては、このように「ボリュームボタンの下に電源ボタン」という機種が多数派となっており、ここは慣れるまで微妙に使いにくく感じる部分だった。何度か、画面を消灯しようとして音量↓ボタンを押してしまったりした。
データの移行について
今回は別のAndroidスマホ(Mate 20 Pro)からデータのコピーを行ったのだが、これがスムーズかつ爆速で本当にびっくりした。
Pixelのデータ移行機能は、このようにUSB-C to Cのケーブルを介して有線で行うようになっている。有線というのがミソで、このデータ移行、HuaweiやOppoなどのスマホが搭載する無線でのデータ移行機能に比べて圧倒的に転送速度が速い。僕の場合はおおよそ50GB前後のデータがスマホに入っていたのだが、このコピーがなんと20分かからずに済んでしまった。無線だと1時間以上かかることもよくあるので、これには感動するほかなかった。なお、ケーブルは付属しているものを使ってもいいし、データ転送に対応していればサードパーティー製でも問題ない。
さらに驚いたのは、データのコピーを進めながらPixel 6aの初期設定を同時進行でできてしまう点。指紋認証などのセットアップを並行して行えるので、びっくりするほどセットアップの効率が良い。よく考えられているなあ…とただただ唸らされるばかりだった。素晴らしい。
ちなみに、新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA」に関しては、以前使っていたスマホから利用履歴が自動で引き継がれた。これはおそらくPixel以外でも対応しているとは思うけれど、便利だなと思ったのでついでにご紹介しておく。
NFCについて
Pixel 6aはおサイフケータイを搭載しており、モバイルSuicaやiD、Quicpay+といった電子マネーを利用できる。実際にしばらく使ってみたが、感度についてはとくに問題はないと思う。
また、通常のNFCについてももちろん利用できる。クレジットカードのタッチ決済だけでなく、マイナポータルやワクチンの接種証明書といったアプリにも対応しており、安心して使うことができる。
APNについて
今回購入したPixel 6aはau版だが、ワイモバイルのSIM(n101)を挿すと自動でAPNが読み込まれ、通話・データ通信ができるようになった。au版の白ロムを購入してSB回線で使いたい、という人も、これならスムーズに使い始められるだろう。
ただし、記事執筆時点では、au版Pixel 6aの対応バンドは非公開となっている。今後公開される可能性もあるので、他社回線での利用を検討している人は、購入前にauの公式サイトで確認するのがおすすめ。ただ、これまでのPixel(3~6)では販路による対応バンド帯の違いはなかったため、おそらく6aに関しても同様だと思われる。
その他の機能について
ロングスクリーンショット:対応
Pixel 6aでは、このように範囲を指定して縦長のスクリーンショットを撮ることができる。中華メーカーなんかでは何年も前からある機能だが、ついにPixelも最近対応したようだ。
ワイヤレス充電:非対応
ここはハイエンドのPixel 6と差別化されているところで、6aではワイヤレス充電を利用することができない。金額を考えれば妥協できる点ではあるけれど、この機種の数少ないウィークポイントの1つだと言えるだろう。
ちなみに、有線での充電はUSB-PD(18W)までの対応で、ここはiPhoneと横並びとなっている。またPPSにも対応している。
まとめ:割り切りポイントを理解して買おう
気に入った点もそうでない点も含めて書いてきたが、総合的には完成度の非常に高いAndroidスマホだと思う。定価でも5万円台前半、キャリア版なら割引施策でさらに安く買える端末であることを考えれば、そのコスパは相当なものだろう。Android版iPhone SEとでも言うべきか、誰にでもおすすめしやすい1台となっている。
ただ、それでもやはり割り切るべきポイントはあるというのも、ここまで見てきた通り事実ではある。買った後で後悔しないために、最後にそれだけ再確認しておきたい。
- OSが微妙に使いにくい
- 顔認証がない
- 指紋認証の速度、精度はそこそこ
- 暗所撮影は期待しすぎは禁物
- ディスプレイは60Hz(そこまで滑らかな映像がうつるわけではない)
- ワイヤレス充電非対応
このあたりが割り切れるなら、もう「ミドルレンジはこれ一択!」といっても過言ではないような状況となっている。気になった方はぜひ店頭で実機を触ってみることをおすすめしたい。
【関連記事】
お読みいただきありがとうございました。以下のTwitterアカウントで更新情報を発信していますので、よければ覗いてみてください↓